母のこと

終末期に入ってしまった母のこと

本当の長いお別れ

葬儀の日が来てしまった。

とうとう母とお別れをしなければならない。

妹家族と、養子の甥の夫婦、私の家族だけの家族葬とは言え、喪主様と何度も葬儀場の係の方との打ち合わせがあるので、泣いてはいられない。

 

葬儀が終わり、最後のお別れでお花をたくさん入れた。

養子の甥はいつまでも泣いて、母の手を離さなかった。

娘は相変わらず軽く失神をしたりして、私はそれも気にしながら母に最期のお別れをした。

母さん、また会おうねバイバイと声をかけた。

 

葬儀場の目の前が、火葬場なので出棺してから数分で到着してしまう。

霊柩車のクラクションを、霊柩車の中で聞くのは父の時とで2回目だ。

なんであのクラクションはとても悲しい音がするんやろ。

そこからの記憶があまりないのだけど。

とにかくここから先には進まないでと言われ、お坊さんの読経が始まった時、大きな声で叫んでしまった。

「かぁさん!お母さん!!」と。

その声が合図のように、また娘が失神してしまい車いすに乗せられた。

そこからも記憶がなく、晴れた日だったのに空を仰ぐのも忘れてしまった。

母が空に昇って行ったはずなのに。

 

2時間後、母を迎えに行った。

白い箱に収められた母を連れて帰る前に、甥に抱っこさせた。

いつまでも泣いて遺骨を離さなかった。

 

この文章を打ちながらも、涙が止まらない。

もう49日も過ぎたから、残しておこうと思ったんだけど。

 

まだ今も、全部思い出すことができない、記憶に蓋をしている。

少し開けては、泣いてしまって動けなくなるので蓋をしている。

 

母さん、苦労ばかりだったけどごめんよ。

何も親孝行もせず、50過ぎまで母さんのそばで過ごさせてもらって、甘えてばかりでごめんよ。

母さんに会いたいよ、寂しくてたまらんよ。